皆様お疲れ様です。
今月の30日は夏越大祓です、本格的な夏を迎えるにあたり心も身体も整えていきましょう。
さて今回はセスナ機のエンジンが飛行中に止まったらパイロットはどうするのかをお話ししたいと思います。前回の日記が好評?だったのでもう少しお話しさせて頂きます。
飛行機で一番怖いことはその場で停まることができないことです、車や船なら故障してもその場に停まって対処することができますが、飛行機では制限時間内にどうにか安全に地上へと着陸しなければなりません。
ただご安心ください、飛行中にエンジンが止まることはほとんど無く、飛行機は一番安全な乗り物と言われています。特に大きな飛行機にはエンジンが2つ以上あり、片方のエンジンが止まっても安全に飛行できるようになっているので、事故の確率は極めて低いと言えます。
ただしパイロットは最悪の状態を想定して訓練を行っているので、セスナ機のエンジンが止まってしまった時の訓練の手順をお話しします。何かの役に立ちましたら幸いです。
前提としてセスナ機はエンジンが1つしかないので、それが止まったらどこかに不時着しなくてはいけません。
まず行うことは①「速度の設定」です。飛行機はエンジンが止まってもすぐに垂直に落ちるわけではなく滑空します、その際に一番重要となるのが速度です。飛行機には機種ごとに滑空の状態で安全に最も遠くまで飛ぶことのできる速度が決まっています、セスナ機では65ノット(約時速120キロ)です。訓練時の教官の教えに、もし飛行中に本当にエンジンが止まったらまずは大声で「チェックエアスピード」と叫びなさいと言われました。これは人間がパニックに陥ると呼吸が止まってしまう為、まずは声を出すことによって強制的に呼吸をし、そして飛行機にとって速度が命だということです。
速度を設定したら次に行うことは②「不時着場の選定」です。飛行機には滑空比というものがありセスナ機だと1対9、つまり上空1000m(1㎞)を飛行している時には滑空で9㎞先まで飛行できるということです。なので上空1000mを飛行中にエンジンが止まったら半径9キロ以内の安全に着陸できる広いところかつ、地上に被害が及ばないところを瞬時に選定します。ベテランパイロットになると飛行中は常に今エンジンが止まったらあそこに不時着しようと最適な不時着場を探しながら飛行しているそうです。
不時着場を決めてそこに向かって飛行しながら次に③「エンジンの再始動」です。飛行機の全てのスイッチやレバー類が間違った位置になっていないかを確認して、イチかバチかもう一度エンジンの始動を試みます。ここでエンジンがかかったら儲けものですが、ここでは残念ながらエンジンがかからなかったということにして話を進めましょう。
残念ながらエンジンがかかりませんでした。④「非常事態宣言」をします。皆様が聞いたことがある「メーデーメーデーメーデー」を無線を使って関係機関に知らせます。ここで重要なのが現在の状態や不時着場所などの情報を知らせておくことです。そうすることにより、近くを飛行している飛行機が助けてくれたり、不時着場にいち早く救急車や消防車を手配してもらえます。
次に④「乗客への対応」になり、前回の日記を読んでいただいた方は覚えているかもしれませんが、パイロットとして緊急の対応をしながら、CAとしてお客様に状況を説明して協力を仰ぐわけですが…
明日は茅の輪作りの作業がある為、そろそろ休みたいと思います。
それでは次回、改めて④「乗客への対応」からお話ししたいと思います。
お楽しみに!!