常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

東国からはまった西国の沼地

古巣を裏切ってついつい『BRUTUS』に手を伸ばしてしまうのですが、今回ももろにやられました。タイトルの罠にはまり、SFばかりの夏休みが間もなく終了しようとしております。

 

興味はあれども別に詳しいわけではないので、知らない作品がたくさん。
とりあえずの気持ちでamazonで見てみたのはアメリカのドラマ『フォールアウト』でした。

言わずとしれたクリストファー・ノーランの弟・ジョナサンと妻のリサ・ジョイによる物語。原作はテレビゲームで、2077年に起こった核戦争で荒廃した、2296年のカリフォルニアが舞台となっています。内容は↑をご覧いただくとして、久々にはまりました。シーズン2が製作されているようなので、続きが楽しみです。あ、流血が苦手な方はおすすめしません。

これで開眼してさらに手を出してしまったのが同じくノーラン&ジョイによる『ウェストワールド』。

人間そっくりのアンドロイドである「ホスト」たちが出迎える西部開拓時代のテーマパーク「ウェストワールド」。テーマパークと言ってもその巨大さと現実と見紛う精巧さは驚くばかり。ここを訪れることが出来るのは限られた富裕層だけなのです。ある時、パークを運営する巨大企業のエンジニアが「ホスト」の行動の異変に気付き始め……。

言いたい!けど夏だから何も言えない!

『フォールアウト』はシーズン1が8話完結だったので良かったのですが、『ウェストワールド』はシーズン4まであることに後から気づきました…。現在シーズン4の序盤まで来ましたが、皆さん、私が見終わったら語り合いましょう。見終わっている方は、私が見終わるまで話しかけないで下さい…(笑)。しかしアンソニー・ホプキンスだの、エド・ハリスだのがレギュラーで出てくるから豪華ですね~。

『ウェストワールド』は直訳すれば当然「西国」。無論、アメリカにとっての「ウェスト」なので「西部」なのですが、日本人にとっての西にはカウボーイも早撃ちガンマンもおりません。我われの「ウェストワールド」は古来、中国を中心とした大陸であり、さらにその先にある天竺≠インドでありました。

逆にアメリカを含む西洋世界にとって、東国とは「イースト」あるいは「オリエント」すなわち主たる部分はイスラム世界。その先に「インド」、さらに東に中国があり、日本列島が彼らの世界の「極東(Far East)」に組み込まれるようになるのは、いわゆる大航海時代の後のことです。

ちなみに常陸國總社宮の神職が毎朝、「日供祭」で奉唱している『常陸国風土記』序文にはこういうくだりがああります。

~古は、相模の國 足柄の岳坂(やまさか)より東(ひむがし)の諸の縣は、惣べて我姫(あづま)の國と稱ひき。是の當時、常陸と言はず。(中略)~

むかしむかしは足柄峠より東はすべて「あづま」と呼ばれておりました。そこに孝徳天皇の時代、

~髙向臣・中臣幡織田連等を遣はして、坂より東の國を惣領めしめき。時に我姫の道、分れて八の國と為り、常陸の國、其の一に居れり~

ということで、日本の「東国」である「あづま」がさらに八つの国となり、そのうちの一つが常陸国、ほぼ現在の茨城県なのです。
常陸国は最も東にあった場所、と言えるでしょう。つまり、西洋世界にとっての極東である日本、その一番東が常陸国ということになります。いわば「超・東国」と言ったところでしょうか。

東/西、イースト/ウェストと一口に言っても、使う場所や、口にする人によって、そのイメージは大分異なることが分かります。

皆さんと「西国」のネタバレ話が出来る日を楽しみにしております。
あ、『ウェストワールド』も流血必死ですので気を付けてご覧ください~。

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