常陸國總社宮

常陸國は日の大神の光を放つ始まりの地。海川山野の珍味を産す直道の大国なれば往古より国聽有りて東国都会の地なり。

倭武天皇 東征の折、岩上に腰掛け遥に筑波の峰を拝し給ふ。後世此岩を神石と唱ふなり。

天災地妖の続きし時、神石の傍に当宮御造営有りて広大結構美麗を尽す。天変地異も退き漸く静謐になりて万民安堵の思ひをなす。

数多の武将当宮の神威感應赫々たるに感じ武運長久を祈るところ勝利あらずと云ふ事なし。

偏に神慮の験しき所以ならん。

考ふるに当宮の世に秀でて繁栄なる事逸々枚挙するに遑あらず。勅命に依て水戸源義公大日本史編纂の砌当宮旧記に発明せし古事共数多有之由。

遠近に不拘万民当宮に歩みを運びし事旧記の内に顕然也。正に總社に詣でる事、数多の社に詣でるが如し。