ある作家の大御所先生が書いていました。間違っても春に失恋なんてしてはいけない。立ち直るまでに時間がかかるから。春はとにかく恋をしないと。
独身の皆さんは春、大いに恋をしたほうがいいらしいですよ。
神社のお祭りは地域の男女が顔を合わせたり、外部から適齢期の男女が来る出会いの場であるのは今も昔も変わらないかもしれません。春祭り、夏祭り、秋祭り。今年の例大祭では獅子や山車が動き、市中でお囃子の音色が聞こえる神賑行事が少しでもできることを期待します。
出会いや恋愛から吹っ飛びますが、總社宮では結婚式を行っています。
挙式には總社宮の御神前で行う場合と近隣の結婚式場やホテル内の神殿に出向いて行う場合とがあります。
コロナ禍では挙式自体が流石にかなり減っていますが、ご家族のみの少人数や新郎新婦お二人のみでもよいので、時世に合った挙式も可能です。もちろん和装、洋装の定めはありません。
若かりし頃にお呼ばれされた結婚式の大半はチャペルか人前で誓い合うもの。ピーク時は月に3回は讃美歌を歌った記憶があります。親戚のおじさまらしき人達が一様に戸惑っている様子をチラ見しつつ、みんなで歌うのもなかなか楽しい経験でした。余談ですが、都内だと、やたらイケメン外国人の牧師さん率が高いような。残念ながら仏前挙式には参列未経験です。
当宮の場合の神前挙式の流れはというと、まず参道で手や口を清めてからご両家が列をなして参進します。拝殿の中に入ると挙式に先立ち、人や物のお祓いをする「修祓(しゅばつ)」これは普段のご祈祷やお祭りの最初にも行うものです。その後、神職に合わせて始まりの一拝、お供え物を献ずる「献饌(けんせん)」、大神様に新郎と新婦が結婚しますのでどうぞ末永くお見守りくださいとお伝えする「祝詞(のりと)」を奏上し、いわゆる三三九度といわれる三献の儀で神酒を飲み交わし、誓いの言葉として誓詞(せいし)を新郎新婦が奏読(浄書した文章にお二人でご署名いただいたものを読んでいただきます)。近年では指輪の交換も行います。ご両家の弥栄を祈念して巫女舞の奉奏、紙垂のついた神聖な榊を神前にお供えする「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」、親族紹介とご両家の固めの盃として親族盃、神職に合わせて一拝をして全て執り納めとなります。
ご新郎ご新婦にはお打ち合わせをする場合に詳しく作法などをお伝えしますが、一連の次第を全てリハーサルすることはしていません。そのほうが当日は新鮮なお気持ちで臨んでいただけるのと、完璧を求める必要はないので作法などにとらわれずに、その時間を大切にお過ごしいただきたいからです。
但し、私たち神職と巫女は違います。先日も新人巫女を中心に細かい動きや作法、注意点などを数時間にわたり打ち合わせて練習をしました。結婚という人生儀礼の大きな節目に立ち会える喜びと緊張感をもっていつでも万全なように鍛錬をします。
巫女さんは未婚なので当事者の経験はもちろんないのですが、いつも各人が心を込めて奉仕に臨んでくれます。
神職あるあるかもしれませんが、私はこれまで、斎主、祭員、巫女、伶人(雅楽を演奏する役目)、舞姫という約4名から10名位の役を全員友人(全員神職)だけという、豪華かつ祝福の気持ちのこもった心に残る挙式を奉仕した経験があります。
知り合いの神職さんはご自身の結婚式で誓詞の代わりに、お互いが和歌を詠んで贈り合ったそうです。何とも雅でロマンチック!
ちょっとスギ花粉は飛んでいますが、恋の季節(ということにして)、常陸國總社宮へどうぞお出かけください。