常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

飛行中にエンジンが止まったら②

皆様お疲れ様です。

 

猛暑が続きますが体調を崩されていませんでしょうか?

 

これだけ暑いと、水分や塩分を補給することはもちろんですが、エアコンを利かせた部屋で体ごと冷やさないとダメな気がします。特に外仕事の方は、なかなかそういった環境にないかもしれませんが、どうか体調優先で頑張って下さい。

 

飛行機も暑さは大敵です、特に気温が上がると空気密度が低下し、エンジン出力の低下、プロペラ効率の低下、揚力の低下を招きます。そうすると離陸の際に普段よりも長い距離を滑走し、浮上した後もゆっくりと上昇していかなくてはいけません。実際問題として、このまま温暖化が進むと、運用ができなくなってしまう空港が出てくるそうです。

 

さてさて、前回は飛行中にエンジンが止まって、再始動も叶わずいよいよ不時着する準備の段階になりました。ここで④「乗客への対応」になります。

 

映画などの不時着のシーンでCAさんが乗客に対して説明していることを、ここでもパイロットが不時着に向けての飛行をしながら説明します。

「エンジン故障の為これから不時着をしますがご安心下さい」

「身に着けている眼鏡やアクセサリーを外して下さい」

「シートを元の位置に戻し、シートベルトを腰の低い位置で強く締め、衝撃防止姿勢をとって下さい」

「不時着した後は速やかに脱出し、機体から離れて下さい」

とこれらの説明をするわけですが、ここで皆さんに覚えておいて頂きたいことがあります。

 

この「シートベルトを腰の低い位置で強く締める」これがとても重要です。日頃みなさんが飛行機に乗る際に、CAさんがうるさいからとりあえず締めておくかという人が大半だと思いますが、事故の際にはとてつもない衝撃が加わるので緩く締めるとまったく意味を成しません。骨盤をシートに固定するイメージで強く締めて下さい。これは飛行機に限らず全ての乗り物のシートベルトに言えることだと思います。

 

さらに飛行機のシートベルトの豆知識として、シートベルトは乗客の保護以外にもうひとつの重要な役割があります。それは、離着陸の際に飛行機は速度が遅くなり非常に不安定な状態となります。この状況で人が自由に動き回れてしまうと飛行機の重心が偏りバランスを崩してしまうのです。なのでシートベルトには乗客が動き回れないように縛り付けておくという役割もあるのです。

 

さて次に⑤「不時着前の最終手順」です。不時着時の火災を防ぐために燃料コックをOFFにします、電気のショートを防ぐために全ての電源を切ります、脱出に備えて接地の直前にドアのロックを解除します。

 

そして⑥「接地」、できるだけ速度を抑えて、最後は揚力を無くして真下に落とすイメージです。人間は前方への衝撃には弱いが、真下に落ちる衝撃にはある程度耐えられるそうです。そうして、無事に接地して外の安全を確認したら、乗客を機外に脱出させ、全員が脱出したことを確認し、最後にパイロットが脱出します。

 

これで飛行中にエンジンが止まっても無事に不時着することができました。

 

私の神職日記では、これまで小型機のパイロットの凄さを知って頂く為に書いてきましたが、非常事態におけるパイロットの凄さもお分かり頂けたと思います。今回の「飛行中にエンジンが止まった」という非常事態はほんの一例に過ぎず、「機内で火災がおきた」「無線機が使えなくなった」「計器が壊れた」「水上への不時着」など、パイロットは想定されるありとあらゆる非常事態に備えて訓練をしています。それらの訓練を経て、試験に合格してパイロットとして仕事をされているので、今後も皆様には安心して空の旅をお楽しみ頂きたいと思います。

 

私も、様々な思いを持って神社に来られる参拝者に対して、臨機応変にその願いを神様にお伝えし、安心して生活を送って頂く為の中取持となれるよう、日々神職訓練に励んでいきたいと思います。

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