神社には通常一年に一回行われる最も大切な行事があります。
それは「例祭」と呼ばれる「まつり」です。
常陸國總社宮の場合、現在は毎年9月15日10時に「例祭」が行われます。
例祭とはその神社にとって由緒ある日に行われる厳粛な神事のこと。
神職、氏子一同は神様に日頃の感謝を伝え、今後のさらなる加護を願います。
当宮の場合、例祭の神事に伴い、神様が氏子地域に神輿に乗ってお出ましになり、さらに氏子36町が獅子・山車・ささらという3種の出し物(祭礼風流)でこれを祝う「神賑行事」が伴います。
祭礼が行われるのは敬老の日を最終日とする三連休。
そのうち土曜日が神様が神輿でお出ましになる「神幸祭(じんこうさい)」。
日曜日が奉納相撲などが行われる「奉祝祭」。
月曜日が神様がお帰りになる「還幸祭」。
今年は9月13、14、15となり、15日は例祭の神事も行われます。
これら一連の行事を併せて、当宮では「例大祭」と総称しています。
常陸國總社宮という神社は国司が国内すべての神々に祈るために国衙近くに創建された施設。
そのため例大祭は国府の神祭りを現代に継承するものです。
当初は祈りの神事のみであったものが、江戸から明治にかけて奉納相撲や踊り、そして獅子・山車・ささらが加わり現在のような形になりました。今では「関東三大祭」と称される大祭礼です。
これまでも禰宜として毎年奉仕していましたが、今年は初めて宮司として携わることになります。もちろん緊張するのですが、どちらかというと楽しみな気持ちのほうが強いかもしれまん。
神様がお出ましになり、2晩過ごされる「仮殿」が設けられる場所を「年番町」と言って毎年変わります。
15の町内が一年交代で務めるのですが、今年は「香丸町」が年番町。
その責任者である祭典委員長は神社の氏子会長である青木正紀さんが務められます。
祭典委員長さんには宮司から「天国の宝剣(あめくにのほうけん)」と呼ばれる神宝を、祭礼中託します。
国司であった大掾氏ゆかりの宝と呼ばれる宝剣を神事の責任者に託すことで、
国府の神祭りが体現されているわけです。
神様のお運びする大神輿の木頭を務めるのが年番町の青年会長。
今年の会長である金子晋太郎さんは、私の小中学校からの友人です。
年番町の青年会長は年番15町内の青年会の連合である「石岡青年会」の会長も務めます。
つまり祭礼に携わる青年のかじ取りをする役目を担うわけです。
さらにいつも神社を支えてくれる氏子青年会である「ひたみち会」の会長もまた小中学校からの友人である山内孝夫さん。
例大祭の時には縁の下の力持ちとして各所で力を発揮してくれます。
常陸國總社宮の例大祭は旧石岡市民が総出で祝う大きな祭礼ですから、我々神職だけではとても行えません。
地域の尊敬する大先輩、そして長年の友人を中心に多くの皆さんの手で祭りが作り上げられています。
私がいつも祭りが楽しみなのは皆さんが毎年一生懸命取り組んできたことが、9月のこの時に結実するからです。
私の役目は常陸国の神々に、皆さんの心を伝えること。
9月13日午前4時30分。禊の神事で祭礼はスタートです。