常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

水無月、夢のツーベースヒット。

この時期は、夏の選抜高校野球の必勝祈願のご依頼を受けてグラウンドに出向きます。野球ボールに似た薯蕷饅頭を眺めながら、球児たちがいい夏を迎えられることを願わずにはいられません。

さて、旅先などの知らない土地で、美味しい和菓子屋さんを発見すること。これは数少ない私の特技です。あくまでも自分好みのお店ですが、鼻が利きます。

~薯蕷饅頭の潔さが好き!~

そんな私が、いまだに発見できないもの。

それは「感動するほど美味しい水無月」です。(お菓子屋さん、失礼をお許しください。)

6月16日は和菓子の日でしたが、水無月という6月30日の「夏越(水無月)の祓」に作られる和菓子をご存知でしょうか?三角形のういろう(葛の場合も)の上に甘く炊いた小豆が乗っているお菓子で、発祥は京都らしく、田舎育ちの私は東京に出るまで全然知らないお菓子でした。6月に入るとちらほらと見かけるようになり、全国的な知名度もここ数年で急激に伸びたような印象があります。

~水無月~

いかにも意味ありげな形、ピンポイントすぎる旬、私はこのお菓子が気になりすぎて九州から関東周辺まで、各地のお店のものを数年来ひそかに吟味していたのであります。

先日読んだウェブマガジン「和楽web」に連載されている彬子女王殿下のお言葉。水無月について「ほっぺたが落ちるほどおいしい食べ物ではない」。

不敬を承知で申し上げます。わかるー!共感せずにはいられない!失礼ついでに便乗しますが、もう一個に手が伸びる感動の水無月がない。心に秘めていたこのモヤモヤ。

それでも、「水無月に食べないとなんだか具合の悪い和菓子」と親しみをお持ちになっていらっしゃるご様子で、夏越の祓とお菓子との関係についてユーモアたっぷりに寄稿されています。お菓子の水無月についてお調べになった興味深い内容が掲載されてありますので、ぜひ皆さんもお読み下さい。

夏越の祓と水無月の関係とは?彬子女王殿下と知る日本文化入門

ふう、勝手に肩の荷がおりました。だって、女王殿下でさえもほっぺたが落ちるほどの出会いがないのであれば、もう諦められますとも。あくなき探求心にようやく終止符が打てました。でも、そうなんです。もはや食べなければ、半年を心置きなく折り返せないお菓子です。今年も当日にありがたく頂戴します。(フライングで今年の一つ目を先日東京で食べました。)

6月30日、夏越大祓が全国の神社で行われます。紙でできた人形(ひとがた)に罪穢れを移して、神社に納めてお祓いをしてもらい、茅の輪(ちがやで作られた輪)をくぐります。大祓という言葉のとおり、祓えに祓えを重ねることで清められ、本格的な暑さを迎えるために心身を整えます。コロナ禍になる前は、仕事帰りやご家族連れのご参拝者とお話をしたり、神事後の直会(なおらい)で手打ちうどんを喜んで頂いたりと、厳粛さの中にも和気あいあいとした賑やかな神事でしたが、昨年と今年はもう少し我慢が必要ですね。すでに境内には茅の輪も設置してありますので、当日にご参拝が叶わない方や混雑を懸念される方はいつでもご参拝の際におくぐり下さい。茅の輪は7月第1日曜日まであります。

~上半期のナンバーワンはこの麩饅頭~

5月は各地の「ちまき」を調べて面白かったので、まだまだ和菓子熱は尽きません。知る人ぞ知る、その地方でしか食べられない、ぼてっ、どでーん、ふっかふかーのお菓子なんかも愛嬌があって魅力的。季節や風土、歴史や文化がぎゅっと詰まっているお菓子に出会えると、とても幸せな気持ちになります。

コロナ禍でお茶席や会合も減り、和菓子屋さんもご苦労されている業種の一つでしょうか。

新茶がいただける良い季節になりました。お菓子もおひとついかがですか?

~このスフレも絶品!和洋どちらも素晴らしき哉、お菓子の世界~

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