常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

表に裏に、じょきんの大切さ

例年であれば、今日9月18日(土)は当宮から年番町の仮殿まで御神輿渡御が行われる神幸祭(じんこうさい)の日です。大神輿とともに山車や幌獅子など40基に及ぶ供奉行列、夜まで続くお囃子の音色と活気ある掛け声。今日からの3日間は石岡の街が一年で最も賑わうはずでした。

先日9月15日は例祭を斎行しました。ご参列の人数を最小限に留め、祭典の内容も部分的に簡素化しましたが、概ね例年通りに行うことができて肩の荷が下りました。多くの氏子崇敬者にご協力とご理解をいただいたことに改めて感謝申し上げます。

唐突ですが、当宮には神職(神主)が何人いると思いますか?宮司(会社でいうところの社長)はどこの神社も1名です。この神職日記に登場する神職の他に、関東で他の職に就きながら当宮の神職としても奉仕する臨時職員などを加えると合計10名ほど。人数としてはまあまあいますが、スタメンは宮司と神職日記の4名くらいで、メガネ木暮くんがいてくれるスラムダンク湘北よりもずっとつらい状況。お祭りともなると全くのお手上げとなります。

そこでお助けいただくのが、よその神社の神職さん。近隣や県内の神社の神職、元職員などが準備から後片付けまでご尽力下さいます。業界用語でこのお助けを「助勤(じょきん)」といいます。除菌という言葉が多く聞かれる昨今、神職は助勤と脳内変換しがちです。

さて、ご奉仕には御礼をお渡ししますが、例祭の御祝にと玉串料を頂戴してしまうので、プラマイを考えてもこれはお金のためのアルバイトではないのです。よその神社の「例祭」という最重要行事のために本務神社の社務を調整し、時間と労力をかけて来て下さいます。前回の禰宜の日記にあった「献幣使」さんは使者なので助っ人とは違います。例祭のそれ以外のメンバー表は、宮司、祭員6名、伶人3名(雅楽を演奏する人)、舞姫(巫女さん)、典儀1名(司会)、賛者2名(黒子の役目)、コロナがない通常であれば、神幸祭や御神輿、奉納相撲に関する祭典が境内で同時多発するので、さらに6~7名。マスコミや授与所対応を含めるとさらに増えます。これが通常の祭礼の場合3日もしくは4日にわたるのです。

祭礼はとにかく準備と片付けの連続。限られた時間での力仕事も多く、イケメン君が威儀物(太刀や鉾など)を運べば、これまた爽やか君が重い扉を外してくれたりと、私と権禰宜橋もっちゃんがちょっとだけ女子扱いされる貴重な機会でもあります。冗談はさておき、助勤神職の「姿勢」はとても見習うところが多く、大きな神社に奉仕されていた経験を生かした段取りの良い準備や、祭式の美しさ、参列者への気配りなどを見ることができ、当宮の神職にとっても刺激になります。

逆もまた然りで、私も県内の神社へ助勤に伺う機会がありましたが、宮司様のお考えやお話を伺えたり、温かくお宮を見守る総代さんと接したり、その神社の内部に入れて頂くことで分かる準備の詳細など、奉仕料をいただくには申し訳ないほど自分にとっての学びと経験になります。一時でもその神社の神職と見られるわけですから、御祭神へ真心を込めて精一杯奉仕したい、祭式やそれ以外での所作も美しくありたい、境内の清掃などの雑務もできる限りお手伝いしたい。まだまだ女性の神職が少ない中で、信頼して受け入れて下さることがとても嬉しく身が引き締まります。

お手伝いでもう一つ。私達神職の装束を着けて下さるために東京から来て下さる装束店の方がいます。神職同士でも着装はできますが、その道のプロは本当に早くて上手です。着け方を見るのも勉強になりますが、ポイントを押さえた出し方や畳み方を教わることもあります。裏方に徹していますが、欠かせない大切なお役目の方です。

表に裏に、今年も多くの方に支えられた例大祭となりました。

当日の様子はYouTube常陸国総社宮の配信でもご覧いただけます。

ページ上部へ戻る