常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

久しぶりの光景

3年ぶりに通常に近い形で神賑行事を行うことができた例大祭。

今年の日程は9月15日の例祭にはじまり、17日は總社宮から御仮殿へ大神輿が渡御される神幸祭、18日は相撲や神楽が奉納され、獅子・山車の大行列が市中を練り歩く奉祝祭、最終日19日は御仮殿から總社宮へ再び大神輿にお乗せした大神様にお戻りいただく還幸祭。4日間の祭礼諸行事を終えることができました。

熱中症での搬送や大雨によるトラブルにも見舞われましたが、観光協会の報告では41万5千人の人出があったそうです。コロナ直前令和元年の祭礼3日間の51万人と比べてもなかなかの数字で、台風被害が心配される大雨が降った中でも相当な賑わいであったことは確かです。

例大祭には雨がつきものだが、今年はいままでで一番降られた。でも雨に降られることなど何度もあった。總社宮の祭りは雨などには負けない。

還幸祭でのご挨拶のなかで氏子会長が仰っていました。年齢をお書きするのは失礼ながら御年81歳。神幸祭と併せて往復約4時間歩かれました。還幸祭では土砂降りの雨の中のお戻りだったにもかかわらず、弱音や疲れを見せない凛としたお姿でした。

そう、毎年雨には多少は慣れている当宮の例大祭。雨には負けません。でも、このコロナには…。

 

この3年間、どうすれば今ある素晴らしいものを未来につなげられるか、新しいより良い形は何か、これまでもこれからも心を通わせられる氏子や崇敬者との関係には何が必要か。多くのことを考え悩み、神職としてできることを模索してきました。9月に入ると地元の方や訪れる参拝者から、お祭りの実施について驚くほど好意的な温かい言葉や励ましの言葉をいただき勇気づけられました。実施することで様々なご意見がでることは承知の上でしたが(インターネット上でのご意見は見ていないので批判もあるでしょうね)、祭礼中も祭礼後も有難い言葉ばかりで救われました。でも、神職の私たちが祭りのことを考え続けるのは当たり前のこと。

神社関係者や祭礼の関係団体の長、行政を含めて、月に一度以上の会議を開催。2年続けての神賑行事の中止の判断となった令和2年、3年。通常開催で準備を進めることができた今年。

各団体や氏子各町のご理解やご協力がなくては、神賑行事の実施はできないのでご尽力には本当に感謝しかありません。

 

なかでも当宮の氏子会長をはじめとする氏子総代は、神社や祭りの本質を理解され、時に調整役にまわり、時に若者層ともざっくばらんに意見交換をしたりと、まさに昼夜問わず多くの時間と労力を費やしてくださいました。

私は嫌いな人を作らないようにしている。自分が嫌ったら相手から好かれることはない。それでは相手を理解できないからね。

 

これもある総代さんの言葉。意見や考えが違う=嫌い、と考えてしまいそうになった時、それとこれとは別と考える。相手の立場や苦労を考えると理解できるところもあるし、自分が相手の立場になったことを想像してみると果たして相手以上のことができるのかと自問する。大先輩の総代さんには遠く及びませんが、私もそう思うようにしています。そして、どんな相手にも決して不幸を願ったりしないこと。

誰もが未経験の状況で模索した3年間。これからもまだまだ続くであろう進化のための努力。お祭りでのたくさんの笑顔や楽しそうな声を聞くにつれ、総代さんたちへの尊敬と信頼の気持ちをまた大きくした今年の例大祭でした。

どの神社のお祭りにも、たくさんの方の祈りや思いがあり、それを続けていくための努力があります。いよいよ神無月、日本各地の秋祭りがはじまっています。

 

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