常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

菊日記12 つぼみのつく時期

10月に入りました。園遊会まであと一月をきったということで、菊作りも佳境を迎えています。といいますか、9月の例大祭で神社が慌ただしくなっていたら、いつのまにかもう菊作りの終盤に入っていた、というような感覚です。

昨年に比べて今年は菊の苗を多めに作りました。その分鉢が増えて作業も増えるな-とか考えていたらいつの間にかつぼみがたくさん生えている状態になってました。

そんなに何日も目を離した覚えはないのですが、「いつのまにこんなに生えた?」という感じで焦ります。大菊の場合は最終的につぼみを一つだけに絞って栄養を集中させ、大きな花を咲かせたいので、残したいつぼみ以外は全部取ってしまわなければなりません。そのため現在次々と生えてくるつぼみを日々プチプチとちぎっています。

一方、大菊とは逆に、小菊は葉っぱを覆い隠すくらいたくさん花を咲かせてほしい。丸っこい菊の集合体を目指すので、もっとつぼみ出ろ出ろと念じることになります。人間は勝手なものだなと思いながらも、情けをかけてもしょうがないので、せっせと仕上げ作業を続けていきます。

今年から試しに育てている小菊は、ザル菊と呼ばれている種類で、その名の通りザルを逆さにしたような半球状に育つというものです。たしかに丸っこく育ってきているのでありがたいのですが、自らの重さで枝が倒れてしまいました。鉢にも植えられるということで植えてみたのですが、本来地面に植えるものだからかもしれません。支柱や紐を使ってなんとか丸っこくしようと格闘しています。

今年菊を育てていて思ったのは、菊は育ちすぎて茎が伸びると自重で倒れるということです。植物としてそれはどうなんだという感じですが、見た目を度外視すればそのまま伸び続けるので、菊側からすれば問題ないのでしょう。倒れてますよと感じるのはこちらの都合にすぎないのです。

伸びるままにしていた菊。ただただ伸びて倒れる。

倒れてまた持ち上がったり。

自然のままにあって美しい植物もありますが、鑑賞用の菊はそうはいかないもののようです。見た目に全く頓着しない人に色々手をかけて、イケてる感じに仕上げるような精神が必要なのかもしれません。

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