常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

こっそりと母の日を思う

桜も藤も、春を感じる花の便りが駆け足に過ぎていったような春。

社務に少しゆとりのある3月と4月のうちに私たち神職は一週間ずつ連休をとりました。京都や北海道に行った話を聞きながら、私も九州へトリップ。九州の旅はまたそのうち個人のInstagramに載せようと思います。

家や近場の安らぐ場所で自分を整えることもいいのですが、時々、自分の心の切り替わりという作業をするのに、不器用な私にとって多少の時間と距離をかける必要があると、この歳にして自覚している今日この頃です。移動を伴って場所を変えることの意味があるのです。

そうこうしていたら、暦はもう立夏!先日の御田植祭も夏のような日差しで日に焼けました。立夏にあわせて夏物の装束に衣替えをなさるお宮さまもあるようですが、当宮の衣替えはもう少し先の6月です。

 

さて、母の日直前にこの日記を書いています。うちには2人の子供がいますが、今のところ何の気配もない。このまま、特に、パーティー好きの娘には気づかれないで欲しい(笑)。気づいたら最後、母の日(主役?)なのにパーティーのお料理やら飾りつけをすることになりそうだから。(過去に経験あり)

日頃から感謝の言葉やお手紙はたくさんもらっているし、こんな母でもすくすくと元気に育ってくれていることがありがたい。

 

世界中の神話にはインパクトのある母神が多く登場します。私より夫や息子のほうが詳しいインド神話やギリシャ神話にも、恐ろしいうえに強すぎる(カーリーとかレアとか。いや、母の前に妻の段階ですでに強すぎる)母神たちがいます。その点、日本神話の母神様は母としての強さはあるけれど怖くはないのがいいです。

のちの応仁天皇を身籠りながらも三韓征伐に出陣された気高き神功皇后。ちょっと怖いのは黄泉の国を司る悲しき女神イザナミくらいでしょうか。

インド神話、ギリシャ神話、古事記・日本書紀の共通点は、あまり子育ての描写がないことかもしれません。不思議です。高貴な方は直接子育てをしないのが普通だったからなのか、結婚という契りにより妻として夫に与える能力(霊力)のほうが重要視されたからなのか。

余談ですが、身重の妻を残して別の女神と結婚する神様とか、姉妹一緒に娶るよう言われたのに醜い容姿の姉だけ送り返す神様とか、身籠った妻に本当に自分の子かと疑いの目を向ける神様とか、現代の価値観では日本神話に登場する高貴な男性の神様たち、ずいぶん酷いですね。

 

母になってまだ8年。毎日大変ですが、叱るときでさえもつい笑いをこらえてしまうほど、子どもたちの元気で明るいパワーに救われています。

 

*写真は数年前に一人で行った壱岐島に鎮座する『聖母宮』の手水です。御祭神は息長足姫尊(神功皇后)などの神々。手水鉢はパラオ共和国から贈られた巨大シャコガイ!初めて見て興奮しました。柄杓がしっくり納まってなんとも素敵でした。

神社の近くには神功皇后の御乗馬の蹄の跡が残されているという『馬蹄石』や、豊臣秀吉の時代、朝鮮出兵の前線で加藤清正が築いた石垣などがあります。元寇が攻めてきた場所も、日本の朝鮮出兵の場所もこことのことで歴史を感じる場所でした。

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