常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

夏の終わり

あれ、6月から私の日記が更新されていない。データが勝手にとんでいってしまったのでしょうか。

 

夏休みが終わってしまいました。子どもたちともっと一緒に時間を過ごしたかったなあと思います。それでも、遊ぶ、働く、遊ぶ、遊ぶ、働く、隙間をぬって遊ぶ、遊ぶ、隙間をぬって働く、働く…と全力少年の夏でした。

子連れ出勤で職員に面倒をかけながら社務をして、今年の夏はコロナの期間を取り戻すかのように、子どもたちと元気に日焼けをして、バスケやプール、化石発掘や海・川遊びに勤しみました。

 

さて、6月7月8月あたりの總社宮はお暇なのではと思われるかもしれませんが、禰宜以下権禰宜たちはなかなか忙しく過ごしています。私はこの時期は主に、新しい御朱印や御守などの授与品を考案したり、在庫の管理や発注、関係取引先との打ち合わせをしたりしています。

9月の例大祭目前で山ほどある準備と並行して、七五三や秋の催事、お正月や節分のことまで準備を進めないと間に合いません。そして最大の修行、ご参拝が多い9月に向けて特別御朱印を三千枚ほど浄書。コツコツと浄書…。(気が遠くなり、腱鞘炎の痛みも麻痺)

 

私は思いっきり自宅に仕事を持ち帰ってしまうタイプ。リビングで仕事をし、考案中の授与品のデザインをああでもないこうでもないと広げているのもしばしば。子どもたちも忙しそうにしている姿を見ているので、聞き分けが良くて優しくしてくれます(笑)。

 

現在、お正月から一年間限定で授与をしている『ブラック・ジャック』コラボの特別御朱印もこんなふうにラフを書いてプロに仕上げてもらったものがこちら。

手塚プロダクションの皆様、本当に凄いです。私のひどいラフと注文からこんな素敵な作画に仕上げて下さるなんて!30年以上前の、父母の持っていた『月刊マンガ少年別冊』の『火の鳥』を読みふけっていた五十鈴少女に教えてやりたい。

そしてこの度、『ブラック・ジャック』コラボ第二弾として奉製したのが、ファイル。その名も『つづる』です。

©TEZUKA PRODUCTIONS

紙でいただく御朱印を保管するためだけではなく、様々な使い方をして欲しくてデザインはとても悩みました。「いい大人」が鞄からさっと取り出して使えるような、とはいえ、しっかり漫画の神様の作品を見せびらかしたいファイルにしたかったのです。私は仕事で使う書類や子どものお便りや写真なんかを入れたり、美術館など展示会のパンフを保管するつもりです。

裏表紙のデザインに悩んでいた時、息子から「因幡の白兎のこと、ブラック・ジャックも話しているよね、ほら。」と漫画を見せられました。知らなかった!「イナバの白ウサギ」と言っている!

子どもたちはリビングの本棚に揃っている『どろろ』『ジャングル大帝』『火の鳥』など、手塚漫画をひと通り読破しています。

息子のお陰でかっこいい裏表紙になりました。英才教育の賜物です。出来上がってきた御朱印やファイルを見て、息子のOKももらえました。

 

こうして完成していく授与品は、ただの「キャラクターもの」として奇をてらうつもりで作ったものはこれまで一切ありません。当宮がもつ歴史的・文化的な意味や御祭神との関係性を表現できるものでなければ、授与品奉製として実現させないのがモットーです。当然、そこには遊び心と手塚作品へのリスペクトもあります。

自分が考案した御守や御朱印などは思い入れがあるし、手塚ファンの私にとってもお気に入りなので、参拝者から質問されるとつい熱く語ってしまいます。(私が社頭にいるときにはご注意ください)

この他にも、祭礼の雰囲気を切り絵にデザインした例大祭特別御朱印を奉製したり、まだまだ果てしなく続く私の夏の社務のお話でした。

 

アイキャッチ画像は、夏休みの研究でキノコについて調べると意気込んでいた小学1年生の娘のために行ったマニアックなキノコ博物館の写真です。夏休み後半にはすっかりキノコへの興味を失って研究を断念し、行き場のなくなった写真や資料の一部として。

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