年末も差し迫り、本日12月19日は毎年恒例の石岡青年会による境内清掃、氏子青年ひたみち会による禊場整備、そして、随神講の皆様からの提灯奉納式が行われました。
社務所では毎年末と同様に慌ただしく神職、巫女が新年を迎える準備をしています。そして今年は新たに「ひたみちのくにつもの」の準備が行われています。
(「ひたみちのくにつもの」については前編も併せてご覧下さい。http://sosyagu.jp/blog/1301.html )
「くにつもの」は縦約37cm、横約12cm、高さ約6.5cmの大きさの箱に入っています。
箱を空けると入っているのは当宮の「紙垂型由緒書」と「くにつもの」の内容を記した「お品書き」です。
「くにつもの」には全部で6つの授与品が入っています。
①直道札(ひたみちふだ)
常陸国の語源の1つである「ひたみち」とは「常道」「直道」などと書き、まっすぐな道、平らな大地などを意味すると考えられています。この神札はこれにあやかり、常陸国に続くまっすぐな道を表した細長い形で奉製しています。写真では「身体健全」の願意札がありますが、希望のお願い事に変更することができます。
お札は神棚にお祀りするものと説明されることが多いですが、現代、特に都市部の住宅事情において社(やしろ)型の大きな神棚を設けるのは難しくなっています。そのため直道札は「自分が神様を感じたい場所」に立てかけてお祀りしていただいて結構です。写真のような「お札立て」を利用してもよいですし、下記の「腰掛け小石」は立てかけたお札を押さえておくための重しとしてもお使いいただけます。(上記写真の神棚立ては個人によるもので常陸國總社宮では頒布しておりません)
②ひとみず守
この御守りは私が長年「こんな形のものがあったらいいな」と思っていたものです。それは不死鳥の羽根の形。御守りは裏表異なる色味になっていて、赤い面が燃え盛る鳳凰の羽根の一枚を象っています。常陸国は古代人が「常世国」と称するほど豊かな国だったと考えられています。それゆえ、鳳凰のような想像上の生き物が住んでいたと考えられていたとしても不思議ではありません。
裏面は霞ヶ浦を代表する、常陸国の水の恵み。霞ヶ浦を常陸国の古代人は「うみ」と言い表していました。
裏表で「火」と「水」二つの自然の霊力を込められているのが「ひとみず御守」なのです。
持ち方としては、鞄の中に入れたり、ストラップを使って鞄につけたりといった一般的な方法のほか、玄関の御守りとしてもいいでしょう。ちょうどトルコでたくさん見かける目玉型の御守り「ナザールボンジュウ」のように見えるかもしれません。
③御塩(みしお)
御塩は常陸國總社宮で毎朝行う「日供祭」で神前にお供えし、これを撤下したものを包んでいます。神社でいただく御供物や撤下品というと、神棚にお供えしたはいいけれど、一年経っても口にするがない方もおられるかもしれません。しかし、御供物や撤下品というのは、神様の御利益を直接身体に入れることで得られるもの。そのため「くにつもの」の御供物は出来るだけ口にしやすいものを選びました。御塩はもちろん、普段の食卓でお使いいただくことができるものです。その他、御清めの塩として使っていただいても構いません。
④双峰ノーラ
双峰ノーラは二種類のグラノーラ。いつもお世話になっているペトラン・田中久美子さんに作っていただいています。
https://www.tanakanouen-petrin.com/
季節ごとに変わる常陸国の山の幸と、当宮の神饌田で収穫された神米を挽いた米粉とをブレンドし、霊峰・筑波山の男体山と女体山を見立てた形にパッケージしました。神饌田では毎年5月初旬に御田植祭が行われています。収穫された御米は例大祭で御神前に初めて献上され、その後は少しずつ毎日の御日祭でお供えしています。米粉は撤下した神饌のお米を使ったものです。コーンフレークのようにミルクで召し上がっていただいてもいいですし、しっかりとしたお味のため、お酒のお伴にも相性がよいものです。
⑤腰かけ小石
常陸國總社宮の境内にはこの場所に神社が創立された理由の一つでもある聖なる石があります。それは倭武天皇(ヤマトタケルノミコト)の腰かけたと伝わる石。「腰掛け小石」はこれを象って、芸術家の松本良太さんに、笠間の土で作っていただいた陶の小品で、手作りのため一つ一つ微妙に形や表情が異なります。
松本良太さんは常陸國總社宮のアートイベント『風土の祭り』以来の御縁で製作をお願いしました。
https://ryota-matsumoto.tumblr.com/
ペーパーウェイトにしたり、オブジェとして飾ったり、自分なりの使い方を見つけてみて下さい。神棚に飾っても良いでしょう。常陸国の土の恵みを感じ、ヤマトタケルノミコトが活躍した古代に想いを馳せていただければと思います。
⑥やわら木
上記の品々を包んでいるのは行方市の木組スタジオNicoさんによるスギの端切れ。
箱から出して部屋に置けば、芳しい香りとともに、常陸国の木の恵みを感じていただけます。常陸國總社宮で様々な祭りを行う拝殿は昭和60年に竣工して以来、今もなお木の香の芳しい建物。香を通して神前の静謐な空間を思い起こされる方もおられるのではないでしょうか。
「ひたみちのくにつもの」には常陸國總社宮の新しいロゴマークがあしらわれています。
これはヤマトタケルノミコトが常陸国の豊かで広い国土を目にした時の後ろ姿を表しています。右手に携えているのは鳳凰の羽根、左手は豊穣を意味する稲穂です。注目していただきたいのは右手の袖。濡れて雫が滴っているのが分かりますでしょうか?『常陸国風土記』に記される国名の語源として、ミコトが井戸を掘らせたところ、袖が水にひたった、というエピソードから着想を得ています。袖が「ひたっち」の国。なんだか可愛らしい名前のようにも聞こえますね。ミコトは私たちと同じ方向、つまり未来を見据えています。「ひたみちのくにつもの」を受けた皆さんが、ミコトに導かれて平和な暮らしを営まれるように、との神職の祈りが込められています。