正月と節分という最大の繁忙期を経て、3月は通常だと少し余裕が出てくる月。
古代ローマ歴だと3月が始まりだったようですが、感覚としてはそれに近いかもしれません。でも今年はまだまだ忙しい……。
何故忙しいかと言うと、まず先日の「お知らせ」にもあった「常陸國總社宮祭礼の獅子・山車・ささら行事保存会」が本格的に始動したから。
関東三大祭と称される当宮例大祭の神賑行事の主催団体であり、無形民俗文化財の保護団体でもあるこの団体はこれまでバラバラだった祭礼関係の団体に一本筋を通す非常に大切なもの。つい先日も第一回の常任理事会が行われました。現在会員を絶賛募集中ですので、これをご覧になった方は是非ご入会いただければと思います。
http://sosyagu.jp/%e4%be%8b%e5%a4%a7%e7%a5%ad/1928.html
そしてもう1つの忙しさの理由は、「氏子青年ひたみち会」の設立十周年の記念大会が3月25日に控えているから。現在は式典、相川七瀬さんによる記念講演、祝賀会の準備と、当日配布する(はずの)記念誌の校了作業に追われています。主担当の橋本権禰宜は連日残業の日々です。
このひたみち会は平成25年に設立された「氏子青年会」。
文字通り氏子の青年会ですが、そもそも氏子って何でしょう?よく仏教における檀家と混同されるのですが、少々違います。檀家は「入るもの」ですが、氏子は「生まれるもの」あるいは「住むもの」と言ったらいいでしょうか。辞書的に見ても「氏神の守る範囲に生まれた者」などと説明されます。八百万の神様たちには「守備範囲」があって、そのエリアのうちに生活する者が、日々見守って下さる神様を「氏神」として崇敬する。そのためエリア内に生活する人は好むと好まざるとに関わらず「氏子」ということになります。
全国の多くの神社が加盟する「神社本庁」には神社にまつわるいくつかの団体が指定団体として扱われていますが、氏子青年会もその一つで、通称「氏青(うじせい)」。全国の氏子青年会は「全国氏子青年協議会」という連合体を組織していて、ひたみち会もその一員になっています。現在、茨城県内では鹿島神宮の「氏子青年かなめ会」とひたみち会の2つだけですが、神社を支える氏子青年の団体という意味ではほかにもいくつか存在するようです。
そんなひたみち会は平成23年に鹿島神宮の大寒禊を体験したメンバーから始まりました。私以外のメンバーは皆、当然ながら禊は初めて。帰り道、実は總社宮にも禊場が“あった”という話になり、石岡に到着してから見てみることになりました。戦前は神職や青年団などが使っていた禊場ですが、戦後荒廃して当時は半ば土に埋もれた状態。でもひたみち会の設立メンバーはこれを復活させよう、と言って下さいました。
ほぼ2年にわたる準備期間を経て、平成25年3月24日に設立。半年以上かけて整備活動を行い、禊場の池に水が溜められるようになりました。そして12月28日。記録に残る最後の禊の写真が撮影された昭和16年から72年ぶりに「禊復活祭」を行うことが出来ました。以来、年末の寒中禊と、例大祭の直前に毎年、禊を行っています。こちらは当時報道して下さった茨城新聞さんによるニュース映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=GBWuyuIHnUA
ひたみち会が設立されたことで常陸國總社宮は以前に比べ格段に活発になりました。御朱印集めが盛んな最近はともかく、以前の神社といえば「お年寄りのための場所」というイメージがありました。しかしここ十年で神社には20代、30代の若者たちが足を運んで下さるようになったと感じています。それはとりもなおさず、ひたみち会の皆さんが、神社を若者にとっても「大切な場所」かつ「面白い場所」にしてくれたからだと思います。
つい先日、映画『BLUE GIANT』を見てきました。泣きました。原作を読んでいたし、ジャズが好きということもあるのですが、何よりがむしゃらな青年の生き方に、感動を覚えたからです。年を経るにつれて、何に対しても感動が薄れ、万事「自分の出来る範囲で」と、お茶を濁そうとしてしまいがちです。でも「青年」は違います。自分の身の丈を越えたハードルを越え、現状を変える努力が出来る。
私も今年の秋で45歳。もはや青年とは言い難い年齢になってきました。でも月並みな言い方ですが、いつまでも青年の精神を持っていたいと思っています。そう思わせてくれるのも、ひたみち会の青い魂が私を揺さぶり続けるからです。