常陸國總社宮

神職日記|4人が語る、神様と暮らす日々。

3-3 若宮八幡宮 若松町の氏神さま

10月10日、今年も若宮八幡宮の例祭にご奉仕しました。若宮八幡宮はかつて旧暦9月15日に例祭を行っておりましたが、今年はちょうど10月10日がその日でした。

若宮八幡宮例祭には氏子地域である若松町の山車の巡行も行われます。このところ感染症蔓延により自粛されていましたが、今年は總社宮例大祭の神賑行事に続き若宮八幡宮の例祭にも山車が登場しました。今年、3年ぶりに神賑行事を伴う常陸國總社宮例大祭が斎行されたことで、ついに常陸國總社宮例大祭の年番の役目は中町から令和5年度年番町を担う若松町へと引き継がれました。

若松町はもともと長峰寺(長法寺)と呼ばれていましたが今から300年ほど前、宝永・正徳年間のころに若松町と改名しています。その由来は若宮八幡宮の松からであるとも伝えられています。

昭和58年に発行された『石岡の今昔 今泉義文遺稿集』には「風神、雷神の門を入るとそこに一本の松がある。これは著名な高浜城主(東田中)高ノ浜(こうのはま)氏の鞍掛の松である。」と記されています。この風神雷神は隨神門の中に安置されています。

隨神門のそばには今も松が植えられていますが、木の太さを見ると300年前の改名に関わったものにしては若いような気がします。

かつてこの地域の名称の由来となった長峰寺は天正年間には既に建立されていた歴史的にも名のある巨大な寺院でした。残念ながら長峰寺は明治3年の火事で焼失しています。この火事は初午の日に若松町より出火し、以前ご紹介した青木町の火伏の稲荷 青木稲荷神社と仲ノ内町の隅之宮福徳稲荷神社を巻き込み周辺町内500戸を延焼させ「長峰寺の火事」と呼ばれる大火となりました。

さて、10月10日に行われた若宮八幡宮例大祭の日、境内に到着すると既に隣接した小屋から山車が曳き出されていました。拝殿での祭典が終わると袢纏を着た青年会や囃子衆が山車の周囲に集まり山車のお祓いが行われます。これは昨年は見ることができなかった光景です。

若松町の山車は三層、欅でできています。

常陸國總社宮例大祭文化財指定検討協議会が各町の山車や獅子についても調査をしておりますのでお写真をお借りします。

△こちらは山車の正面に付けられた町名の額。額は雲に鳳凰の意匠。

△山車の背面には町名を象徴する松の木の装飾が取り付けられています。

△山車の側面の胴羽目は牡丹に獅子、それぞれ阿形・吽形の2枚に分かれ、吽形の獅子には子獅子も彫られています。もしかしたら雄と母子の図かもしれません。よく見ると彫刻の一部には「平成十八年吉沢」の文字が記されています。

△山車の前後には松に鶴の緞帳が下げられています。

△このほかにも脇障子の龍や麒麟、山車の四方を守る四神獣など、山車中に縁起のいい獣が散りばめられ、金具には笠松文様が施されています。

以前の記事でもご紹介しましたが、若宮八幡宮は八幡太郎源義家が奥州討伐にあたり朝敵退散を祈願した神社です。これに由来し、八幡宮が鎮座する若松町では山車の上に義家公の人形を飾ります。

源義家は平安時代の武将で石清水八幡宮で元服したことから八幡太郎と名乗りました。この人形は弓までの高さが2m近くにもなり、5mを超える山車の上に鎮座するため顔はうつむき加減に、視線もやや下向きに作られています。

△山車の車輪には若松町の町紋、笹竜胆があしらわれています。

若松はやし連の皆さんの袢纏も松葉に笹竜胆ですね。若松はやし連の皆様には令和3年のお囃子オンラインライブにもご協力を頂いております。以下のリンクの1:15:00ごろからご奉納の様子がご覧いただけます。

www.youtube.com

ところで私、ブログの更新が滞っておりましたが、氏子青年ひたみち会の皆様とともに縁~Ennichi~という催しをくわだてております。

氏子青年ひたみち会は常陸國總社宮の若い氏子で組織する青年会で今年度に設立10周年を迎えます。

縁~Ennichi~は古きよき故郷の思いを次世代に継承するため、常陸國總社宮の境内で昔懐かしの縁日を催し子供たちに神社での思い出を作ってもらおうという企画です。11月20日、境内ではお囃子や獅子舞が披露され、焼きそば、スーパーボールすくい、型抜き、チョコバナナなどの出店が立ち並びます。ひたみち会でこのような企画を実行するのは初めての事なので会員も試行錯誤、橋本もてんやわんやしております。

臼と杵を使った餅つきの実演や境内を華やかに彩るならせ餅体験も企画しておりますので当日ご参拝の折には是非お立ち寄りください。

また11月3日に当宮で行われます子供向け百人一首大会につきましても参加者を募っております。主な対象者は小学校4、5、6年生。五色百人一首という20首ずつに色分けされたカルタを使ってトーナメントを行います。事前にルール説明や練習試合もあり、全くの初心者でも楽しみながら古典文学に触れ合うことができる企画です。予約者優先でのご案内となりますので、ご興味がございます方は常陸國總社宮(℡0299‐22‐22323)までお問い合わせください。

 

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